医師に執行猶予付き有罪=不同意堕胎「立場を利用」-東京地裁
交際女性に薬剤を投与して流産させたとして、不同意堕胎罪に問われた元東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)医師の小林達之助被告(36)=懲戒解雇=の判決公判が9日、東京地裁であった。田村政喜裁判長は「医師の立場を利用した犯行で、強い社会的非難を免れない」として、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。
田村裁判長は、妻に知られたくなかったという動機を「誠に身勝手かつ自己中心的」と指摘。いったん堕胎に失敗した後で、より強力な薬剤を点滴した経緯から、「一連の犯行態様は、強固な犯意に基づく悪質なもの」と非難した。
被害女性についても「被告の子を身ごもったことを喜んだのに妊娠約6週間で堕胎させられ、精神的苦痛も多大だった」と言及し、「深い信頼を裏切られた女性の処罰感情は厳しい」と述べた。
一方、小林被告が事実を認めて謝罪し、病院も解雇されたことなどから「酌むべき事情もある」と判断した。
小林被告は髪を短く刈り、白シャツ、黒ズボン姿。被告人席で伏し目がちに判決理由に聞き入り、言い渡しが終わると軽くうなずき、立ち上がって裁判長に頭を下げた。
判決によると、小林被告は昨年1月、交際していた女性にビタミン剤と称して子宮収縮作用のある薬剤を服用させた上、陣痛を誘発する薬剤を点滴し、同意を得ずに堕胎させた。
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