朝倉市 ホームレス置き去り 福岡市の支援団体会場に
福岡県朝倉市教委の職員が今月2日、市の体育センターなどに寝泊まりしていた無職男性(62)を福岡市博多区のホームレス自立支援団体の相談会場に連れて行き、置き去りにしていたことが11日、分かった。男性はその後、所在不明になった。生活保護法はホームレスの保護希望者を現地の福祉事務所が担当するように義務付けており、市側は「認識不足だった」と対応の誤りを認め「男性の居場所が分かれば責任を持って保護したい」としている。
支援団体の関係者によると、朝倉市教委から1日、支援団体のスタッフに「ホームレスの男性がそちらに相談したいと言っている」と電話があった。スタッフは同市で生活保護を受けるべきだと指摘したが、市職員は2日、男性と自転車などの所持品を市のワゴン車に載せて相談会場を訪れた。市職員に「帰りはどうするのか」と尋ねると、職員は「本人には説明している」と答え、男性と所持品を降ろして帰ったという。
男性は相談会場で「(朝倉市の職員から)生活保護や仕事についてここで相談するように勧められた。生活保護を申請したい」と話していた。
朝倉市教委生涯学習課によると、男性が公共施設でたき火をするなどしたため、市教委が「危険」と判断し立ち退きを求めた。同市福祉事務所に相談したが「住居がないと生活保護は申請できず対応できない」と誤った認識で断られ、男性に民間団体の支援を受けるように勧めた。同課は「親切のつもりだった」と釈明している。
住居のないホームレスをめぐっては厚生労働省が3月、都道府県を通じて全国の自治体に、現地の福祉事務所が生活保護の申請を受け付ける▽他の自治体への移動を勧める行為は認められない‐と通知していた。
福岡県保護・援護課は「生活保護の受給を希望するホームレスを別の市に連れて行くのは法令に反する」と批判。支援団体の関係者も「保護すべき立場にある朝倉市の職員が福岡市に連れてきて置き去りにするのは無責任」と指摘している。
朝倉市福祉事務所の谷口勝義保護係長は「担当者の認識が不足していた。指導も不十分だった」と陳謝している。
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