エコ×おしゃれ 「マイ傘」人気 「使い捨て」見直し機運
エコロジーとファッション性の両面から、使い捨て傘を見直す機運が高まっている。若者を中心に、値が張ってもおしゃれな傘を買う人が増え、傘業界は傘を長く使う啓発活動を展開。芸能人らが協力した「マイ傘」推進運動や、ビニール傘のリサイクルも始まった。
◆1本2万~3万円
「ほかではなかなか見ない、いい色ですね」。イイダ傘店(横浜市)が9月、東京で開いた受注会では女性客が傘を吟味していた。骨の大きさや柄の素材も選べるので、注文に2時間かける人も。今年は野の花を描いたかわいい傘が人気だ。
店主・飯田純久さんが布地をデザインし、スタッフ2人と傘を手作りしている。素材の多くは国産品で、価格は1本2万~3万円と高級。だが東京など5カ所で年2回開く受注会には、毎回女性客を中心に500人余りが訪れ、販売数も年々増えているという。
◆「男の日傘」も注目
日本洋傘振興協議会によると、傘の国内年間消費量は約1億3000万本。その9割が中国などからの輸入品で、うち相当数は使い捨てビニール傘だ。数百円から100円という安さに押され「中小企業の多い国内メーカーはこの10年で急速に姿を消した」(関係者)。
ただここ1、2年はエコロジーの観点から使い捨てを敬遠する人が増え始めた。女性の日傘が普及し、昨年からは「男の日傘」も注目されている。さらに高級ブランドの長靴などおしゃれな雨具が流行し、ファッション性の高い雨傘を求める風潮も高まっている。
同協議会は、販売員向けに手入れの仕方や修理法などの講習を開き、試験に合格した人を「アンブレラ・マスター」に認定。「質の良い傘を購入すれば、修理しながら長く使えることを消費者に伝えたい」と話す。
◆コラボ企画 相次ぐ
「マイ傘」運動も始まった。ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが提唱する環境キャンペーン「MOTTAINAI(もったいない)」は6月、タレントの押切もえさんらがデザインした傘を製作。8000~1万2000円台で作り、「傘を大切に使って」とのメッセージを発信している。
学生と若い社会人が作る社会起業プロジェクトチーム「SOL」は、使い捨て傘を減らす取り組み「シブカサ」を展開している。企業などからビニール傘の寄付を募り、イラスト入りのシールを張って東京・渋谷のカフェや書店で貸し出す。傘を返してくれた人には50円相当の「地域通貨」を渡す仕組み。
41店と提携しているが、「10~20店が提携を待っている」(SOLの大塚潤代表)人気ぶりだ。ファッション業界やアーティストとのタイアップも企画するなど、活動の場を広げている。
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